ジェット・ブログ: 【読書】あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか

2014年9月4日木曜日

【読書】あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか

「あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのかネット時代の老舗に学ぶ『戦わないマーケティング』／仲山進也」
を読みました。

平たい文章で書いてあるのですが、とても核心をつく分析もあり
なるほど、これは面白い本でした。

そんじょそこらの経済本よりわかりやすく、ためになりますね。
やっぱり、このワクワク感がないとね。

特に、「消耗戦を抜け出せた成功事例」は、
本当に存在するサイトなので非常に参考になります。
そのサイトにリンクを貼っておきました。
（いつものように自分のために残しておきます、
でもやっぱりすべては書ききれないですね。時々は読み返さねば。）

がんばればがんばるほど競合相手が強くなっていって、消耗戦が激しくなる。
お客さんにしたら、誰から買っても同じ。ウチの店である必要が何もない、
長いことやってきても、今までやってきたものが全然積み上がっていない。

「成長と膨張は違う」
「成長し続けること」を目指して、「膨張し続けただけ」になっていないか？

ネットショッピングは、お客さんにボタンひとつで「価格が安い順」に並び替えられてしまう世界。
すなわち、価格競争は「宿命」のように思われます。

しかし、そうとも限らないのです。
それらの「消耗戦を抜け出しているお店」を、
この本では「老舗」と呼ぼうと思います。

近年、eコマースのスタイルが大きく分かれつつある。
１つは「究極の自動販売機」の道で、もう１つは「究極の対面販売」の道。
「がんばればがんばるほど激しい消耗戦に巻き込まれる会社」というのは、
たいてい「自動販売機の道」を歩んでいます。

「レモン部」は、三重県の苗木店「花ひろばオンライン」が始めた、
みんなでレモンを育てる「部活型の商品」です。

「レモン部募集」という商品ページにいくと、
「買い物かごに入れる」ボタンが「入部する」になっている。

レモン部にはルールがあります。
「月に一回、レモンの苗木の写真を撮り、成長日記を書いて顧問に送ること」です。
同期のレモン部員は30人ほどいる。

大事なことは、短絡的・直接的な因果関係として
「売り上げアップのためにレモン部をやっている」と考えるのではなく、
「レモン部をやることで全体がうまくいく」という考え方で理解することです。

これが「究極の対面販売」の道を歩み始めて、
消耗戦を脱しつつある「老舗」スタイルの事例の１つです。

究極の自動販売機の道を歩む「一発くん」
究極の対面販売を歩む「老舗くん」

消耗戦を抜け出して老舗になるために「やってはいけない５つのこと」

①売れているモノを売ってはいけない

老舗くん ヨソでは買えない価値を売る
一発くん 多く売れるモノを売る

「まったく興味を持ってなかったモノなんだけど、
その人の話を聞いたことで興味が湧いてきて欲しくなって買ってしまった」という
物語が起こるのが、老舗くんの世界です。

コンビニエンスを売る一発くん、エンターテイメントを売る老舗くん
買いたいモノを安く買えるのは「エンターテイメント」というほどのことではない

②ターゲット客を攻略してはいけない

老舗くん お客さんとは、価値観を共有した仲間
一発くん お客さんとは、ターゲット

老舗くん コンテンツ充実に忙しい
一発くん SEO(サーチエンジン最適化)に忙しい

検索エンジン開発者は、常に「上位表示されるテクニック」を講じた
小手先のテクニックで対策をしたから上位に来た貧弱なサイトの「対策くん」を
いかに下に落とすかを一生懸命考えているので、対策をすればするほど、
上がっては落とされ、上がっては落とされを繰り返すいたちごっこにハマっていきます。

ソーシャルメディアが流行すると
老舗くん お客さんがしゃべりたくなるネタづくりに忙しい
一発くん 次々とアカウントを作って友達(フォロワー)を増やし、告知するのに忙しい。

③競合対策をしてはいけない

価格競争が激しくなると
老舗くん いつもランキング２位。１位が入れ替わっていく。
一発くん 勝負を賭けて、最安値にする。

④スケールメリットを強みにしてはいけない

仕事をするのは、何のため
老舗くん 目の前の人に笑顔になってもらうため
一発くん お金のため名誉のため規模拡大のため
               (目に見える成長)

⑤勝つためのスキルを磨いてはいけない

老舗くん 戦わなくて済むように工夫する。
               (強みを活かして誰もいないポジションへ行く)
一発くん 戦う気マンマンなので勝つための技を磨く
                (みんながいる方へ行かないと不安)

〈消耗戦を抜け出せた実例事例〉

一目見たら欲しくなってしまう人続出の「危険なハンコ屋」
邪悪なハンコ屋しにものぐるい

「新しいアイデア」とは「既存のものと既存のものの新しい組み合わせ」

「認印」という既存要素と「ゆるキャラのイラスト」という既存要素からなっています。

それが「新しい組み合わせ」だからこそ「なにこれ欲しい！」と思われるわけです。

「購買心理のステップ」の「欲求モード」と「比較モード」の２ステップある。
ここで重要なのは「自店舗内で比較モードを完結してもらえるだけの品揃え」です。
ハンコの目新しさで「欲求モード」にスイッチを入れ、
ラインナップで「適度にコストを使った、心地よい疲労感」を味わえることによって
「自店舗内で比較モードを完結してもらえる」のです。

ソーシャル時代のバレンタインで売れる「ところてん」
チョコろてん

スーパーより2倍高いのにネットで超絶な売れ方をする「タマゴ」
筑前飯塚宿たまご処卵の庄

売れ筋は卵160個入り（！）

1本498円の1分19秒で500本完売した「ビール」
よなよなの里エールビール醸造所

スーパーでも買える商品ばかりなのに、
ネットで月商7000万円売れる「ソフトドリンクのお店」
いわゆるソフトドリンクのお店

82歳の店長にファンクラブができる風呂敷専門店
ふろしきや

ソーシャル時代に「自然にツッコまれやすいお店」は盛り上がる
「シルエットクイズ」のように、
店長やスタッフの人柄が表れた自然な形としての「ツッコまれやすさ」のあるお店は、
長い時間をかけて「本当の意味でのファン」が増えていきます。

国内1店舗だったのに数年で11ヶ国300店舗を越えた洗車用品店
洗車の王国

「洗車を通じて、世界から交通事故をなくしたい」
「自宅で洗車するだけ」のイベントに参加できないお客さんが悔しがる。

月商1億円も売れる壁紙屋
壁紙屋本舗

「初心者のお客さんに壁紙の貼り方を教えながら売るお店」
「全人類職人化計画」

半額セール中に、値引きなしで
高額な日本酒100本を7時間で完売させた酒屋
あさびらき十一代目源三屋

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